鑑定書

鑑定書とは、作品が真作であることを示す証明書のことです。美術業界のなかでも特に信頼度が高い関係者や、作家本人の関係者が設立した公的機関が発行したものを指します。鑑定書に記載している項目は、作品名・様式・登録番号など。鑑定書をコピーしたものを贋作に付属させ、本物のように見せて販売している場合もあるため、注意が必要です。

鑑定書は、真作であればどんな作品にでも発行されるわけではありません。作家本人が既に亡くなっている作品に鑑定書を発行するケースが多い傾向にあります。作家が存命している場合は本人に真贋の確認をしてもらえばよいため、鑑定書を製作するのは亡くなった作家の作品に対してのみで構わないという考え方が一般的です。

作品の制作年代によっては、優品や真作でも鑑定書を発行しない場合もあります。日本で専門の所定鑑定人や所定鑑定機関が鑑定の対象としているのは、明治時代以降の作品が中心です。江戸時代以前の作品にもなると、責任をもって鑑定書を発行できる鑑定機関が存在しないことを留意しておきましょう。

ごくまれにではありますが、明治時代以降に活躍し、すでに亡くなった制作者が後世で高い評価を得ているのにも関わらず、鑑定書が発行されないイレギュラーなケースも見受けられます。生前の作家本人や作家の子孫が、鑑定書の発行を望んでいないときです。

また何らかの事情によって発行元機関が消失・権利を喪失したことにより、一度は発行された鑑定書の効力がなくなることも。鑑定書の発行・内容確認をするときは、現時点で権利を保有する公的機関に鑑定を依頼することが大切です。