「作品を掃除していい?やってはいけない手入れと保管のコツ」

2026.1.29

絵画を売却しようと考えたとき、多くの方が最初に悩むのが「少し汚れているけれど、掃除した方がいいのだろうか?」という点です。

結論からお伝えすると、自己判断で掃除や手入れを行うことは、基本的におすすめできません。

善意で行った行動が、結果として作品の価値を下げてしまうケースは、実務の現場でも少なくありません。


なぜ「掃除しない方がよい」のか

絵画は、家具や日用品とは異なり、表面そのものが価値の一部になっています。

■ 絵具の層

■ 画面の質感

■ 経年変化を含めたオリジナル性

これらは非常に繊細で、一度手を加えると元に戻すことができません。

そのため、「きれいにしたい」という気持ちが、逆に評価を下げる原因になることがあります。


やってはいけない手入れ①|表面を拭く

最も多いNG行動が、布やティッシュで表面を拭いてしまうことです。

■ 乾いた布で軽く拭く

■ ティッシュやキッチンペーパーを使う

■ ほこりを払うつもりで触る

これらの行為でも、絵具の剥落や表面の摩耗が起きる可能性があります。

特に油彩や日本画は、見た目以上にデリケートです。


やってはいけない手入れ②|洗剤・アルコールを使う

汚れが気になる場合に、洗剤やアルコールを使ってしまう例も見られます。

■ アルコールシートで拭く

■ ガラスクリーナーを使う

■ 水拭き・濡れ布巾で拭く

これらは、変色・溶解・表面破壊を引き起こす可能性があり、査定上は大きなマイナス評価につながります。


やってはいけない手入れ③|破損部分を自己修復する

破れや剥がれを見つけた際に、つい補修してしまうこともあります。

■ テープで留める

■ 接着剤を使う

■ 裏から紙を貼る

これらはすべて、不適切な修復跡として扱われる可能性が高く、修復前より評価が下がるケースもあります。


額やガラスの扱いにも注意が必要

作品そのものだけでなく、額装の扱いにも注意が必要です。

■ 額から無理に外す

■ ガラスを交換する

■ 留め具を外してしまう

額は、作品の来歴や展示状況を示す要素になることもあり、現状のまま保つことが基本です。


掃除の代わりに「やってよいこと」

では、何もしなくてよいのかというと、そうではありません。

■ 触らずに状態を確認する

■ ほこりが付かない場所に移動する

■ 直射日光や湿気を避ける

これらは、価値を守るための行動として有効です。


絵画の保管で気をつけたいポイント

売却まで時間がある場合は、保管環境を整えることが重要です。

■ 直射日光が当たらない場所

■ 湿気の少ない環境

■ 温度変化の少ない部屋

とくに、押し入れ・床下・窓際などは、カビや劣化の原因になりやすいため注意が必要です。


立て掛け・重ね置きは慎重に

一時的な保管であっても、

■ 壁に直接立て掛ける

■ 複数枚を重ねる

場合は、倒れや圧迫による破損リスクがあります。

クッション材を挟む、安定した場所に置くなど、物理的なダメージを防ぐ工夫が必要です。


不安があるときは「触らず相談する」

状態や扱いに不安がある場合は、何もせずに相談するのが最も安全です。

■ この汚れは問題ないのか

■ このまま保管して大丈夫か

■ 早めに対応した方がよいか

こうした判断は、専門家の視点を入れることで、後悔のリスクを大きく減らすことができます。


手を加えないことが、最良の手入れになる

絵画に関しては、

■ 自己判断で掃除しない

■ 洗剤・アルコールを使わない

■ 修復しない

■ 環境だけ整える

これが、価値を守るための基本姿勢です。

「きれいにしたい」と思ったときほど、一度立ち止まることが、結果的に最も良い選択になることがあります。