名前が分からないからといって、価値まで決めつける必要はありません 🎨
美術品の査定をご依頼いただく際、お客様から最も多くいただくご相談の一つが、
「作者が分からないのですが、見てもらえますか?」
というご質問です。
実家の整理や遺品整理で見つかった絵画には、サインが読めなかったり、誰が購入したのか分からなかったりする作品が少なくありません。
そのため、「価値はないだろう」と考え、処分を検討される方もいらっしゃいます。
しかし、美術品の世界では、作者が分からないことと、価値がないことは全く別の話です。
私たちが日々査定を行う中でも、作者不明として持ち込まれた作品の中に、思いがけない価値が見つかることがあります。
サインが読めないだけというケースもあります🖼️
絵画には、多くの場合、画面の隅や裏面に作者のサインが入っています。
ところが、
・長年飾られていたため汚れで見えにくい
・独特な筆記体で判読が難しい
・雅号(本名ではない画号)で署名されている
といった理由から、作者不明と思われていることがあります。
査定では、サインだけでなく、筆遣いや画風、キャンバスの特徴、額装、裏面のラベルなども含めて確認します。
作品そのものが、多くの情報を語ってくれるのです。
作者名よりも作品そのものが評価されることもあります🖌️
「有名な画家でなければ価値はない」と思われがちですが、それも必ずしも正しくありません。
地方で活躍した画家、美術団体に所属していた作家、海外で評価を受けた作家など、市場には一般には知られていなくても需要のある作品が数多く存在します。
また、作品の完成度や保存状態によって評価されることもあります。
美術品は、一枚一枚を個別に見て判断する世界です。
名前だけで価値が決まるものではありません。
額縁や裏面にも大切な手掛かりがあります📦
作品を拝見するとき、私たちは表面だけを見ているわけではありません。
額縁の裏には、
・画廊のラベル
・展覧会の出品票
・旧所有者の記録
・作品番号
などが残されていることがあります。
また、共箱や保証書、購入時の資料があれば、作品の来歴を確認する大切な手掛かりになります。
そのため、「不要だから」と処分せず、一緒に保管していただくことをおすすめしています。
インターネットでは判断できない理由🔍
最近では画像検索やAIによって作品を調べられる時代になりました。
便利な方法ではありますが、それだけで価値を判断することはできません。
本物かどうか、制作年代、保存状態、市場動向などは、実際に作品を拝見しなければ分からない部分が多くあります。
特に美術品は、同じ作家の作品であっても評価が大きく異なることがあります。
だからこそ、専門店による査定には意味があります。
一枚の絵が教えてくれること🌿
査定をしていると、ご家族が何十年も大切に飾ってきた作品に出会います。
「父が退職記念に購入したものです。」
「母が気に入って応接間に飾っていました。」
そんなお話を伺いながら作品を拝見すると、その一枚には、ご家族の歴史が刻まれていることを感じます。
たとえ市場価格が高額ではなかったとしても、その作品が歩んできた時間に価値があることは少なくありません。
そして、その中には、専門家だからこそ見つけられる価値が眠っていることもあります。
作者が分からないという理由だけで処分を急ぐ必要はありません。
もしご自宅や実家で気になる作品が見つかりましたら、どうぞそのままの状態でご相談ください。
私たちは、一枚一枚の作品と丁寧に向き合い、その作品が持つ価値や背景を誠実にお伝えいたします。
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