片付け・遺品整理で出てきた絵画|まずやること・やってはいけないこと
実家の片付けや遺品整理をしていると、思いがけない場所から絵画が出てくることがあります。
■ 押し入れや納戸の奥にしまわれていた
■ 応接間や床の間に長年飾られていた
■ 箱に入ったまま保管されていた
■ 物置から額に入った作品が何枚も出てきた
こうしたときに困るのが、
「価値がある絵なのか分からない」
「捨ててしまってよいのだろうか」
「汚れているけれど、きれいにした方がよいのか」
という判断です。
作者や購入先が分からない作品も少なくありません。
そこで今回は、片付け・遺品整理で絵画が見つかったときに、まずやっておきたいことと、避けた方がよい行動を順番に解説します。
最初に大切なのは「すぐに捨てない・手を加えない」
絵画が出てきたとき、まず覚えておきたいのは、
その場ですぐに価値を判断する必要はない
ということです。
古い、汚れている、作者名が読めない、購入した場所が分からない。
こうした理由だけで、作品の価値を判断することはできません。
片付けや遺品整理では、限られた時間の中で大量のものを整理することもあります。そのため、判断できない絵画については、ほかの不用品と一緒に処分せず、いったん分けておくことをおすすめします。
まずやること①|作品をそのまま確認する
最初は、無理に動かしたり分解したりせず、現在の状態を確認します。
確認したいのは、たとえば次のような点です。
■ 額に入っているか
■ キャンバスや紙に破れがないか
■ 絵具が剥がれていないか
■ シミやカビのようなものがないか
■ 額や作品の裏側にラベルなどがないか
■ 箱や付属品が近くに残っていないか
ここで重要なのは、確認のために作品を傷めないことです。
特に絵具が浮いている、剥がれている、キャンバスが破れている、額が壊れているといった場合は、無理に持ち上げたり額から取り外したりしない方が安全です。
大きな作品や重い額装作品も、一人で無理に動かさないようにしてください。
まずやること②|裏側や箱も捨てずに確認する
絵画では、表面だけでなく裏側や付属品から重要な情報が見つかることがあります。
たとえば、
■作家名や署名
■作品名
■画廊のラベルやシール
■百貨店のラベル
■展覧会の出品票
■作品番号
■箱書き
■鑑定書や作品証明書
■購入時の領収書や請求書
などです。
作品そのものだけを残して、古い箱や書類を先に捨ててしまうのはおすすめできません。
一見すると不要に見える紙や箱でも、作品の来歴や購入経緯を調べる手掛かりになることがあります。
何に使うものか分からない場合は、作品と一緒に残しておくとよいでしょう。
まずやること③|分かる範囲で入手経緯を確認する
遺品の場合は、家族や親族が何か覚えていないか確認してみるのも一つの方法です。
たとえば、
「昔、百貨店の美術展で購入したらしい」
「知人の画家から譲ってもらったと聞いている」
「会社を経営していた頃から応接室に飾ってあった」
といった情報です。
購入時期や購入先が正確に分からなくても構いません。
ただし、記憶と確認できた事実は分けておくことが大切です。
「有名な作家だと聞いた気がする」といった話であれば、そのまま査定時に伝えれば十分です。
無理に作者や作品名を特定する必要はありません。
まずやること④|写真を撮っておく
片付けの途中であれば、作品の写真を残しておくと情報整理に役立ちます。
可能であれば、
■作品全体
■署名や落款
■額を含めた全体
■安全に確認できる場合は裏側
■ラベルやシール
■箱書き
■鑑定書・証明書などの付属資料
を撮影しておきます。
複数の作品がある場合は、作品と箱・書類の組み合わせが分からなくならないよう、作品ごとにまとめて撮影しておくと整理しやすくなります。
まずやること⑤|保管場所を確認する
すぐに査定や売却をしない場合は、作品を置いている環境にも注意します。
絵画は、直射日光、水分、過度な湿気、急激な温湿度変化などによって劣化することがあります。
そのため、
■直射日光が長時間当たる場所を避ける
■雨漏りや結露のある場所を避ける
■暖房器具のすぐ近くを避ける
■倒れたり物がぶつかったりしない場所に置く
といったことを意識してください。
ただし、すでに絵具が剥がれている、額が壊れている、カビが広がっているなど、状態が不安定な作品については、保管場所を変えるために無理に動かすことがかえって損傷につながる場合があります。
そのような場合は、動かす前に専門家へ相談する方が安全です。
やってはいけないこと①|「古いから」と処分する
片付けの際に特に避けたいのが、見た目だけで価値を判断することです。
「額が古い」
「絵が汚れている」
「作者を知らない」
「家族も購入した経緯を知らない」
こうした理由だけでは、作品の価値は判断できません。
また、額縁が傷んでいても、作品本体とは別に考える必要があります。
価値が分からない作品は、処分する前に一度確認する。
これだけでも、後から「見てもらえばよかった」と後悔する可能性を減らせます。
やってはいけないこと②|自分で絵をきれいにする
長期間しまわれていた作品には、ホコリや汚れが付いていることがあります。
しかし、
■濡れた布で拭く
■洗剤を使う
■アルコールを使う
■表面を強くこする
■剥がれた部分を接着剤で貼る
■破れをテープで補修する
といった処置は避けてください。
絵画は、使われている絵具、下地、支持体、表面のコーティングなどによって性質が異なります。
見た目には問題がないように思える処置でも、変色や絵具の剥離など、元に戻せない損傷につながることがあります。
査定前だからといって、無理にきれいにする必要はありません。
汚れた状態のまま相談してください。
やってはいけないこと③|箱・書類・シールを捨てる
「古い箱だからいらないだろう」
「額の裏に貼ってあるシールが汚いから剥がそう」
これも避けた方がよい行動です。
箱書き、画廊のラベル、展覧会のシール、購入時の書類などは、作品の来歴を確認する手掛かりになる場合があります。
作品とは関係がないように見えても、査定が終わるまでは捨てたり剥がしたりしないことをおすすめします。
やってはいけないこと④|急いで売却する
遺品整理では、「○日までに家を空けなければならない」など、時間に余裕がないこともあります。
それでも、価値が分からない作品については、可能な範囲で説明を受けてから判断した方がよいでしょう。
査定額だけを見るのではなく、
「どのような作品として見ているのか」
「どこを評価したのか」
「なぜこの査定額になるのか」
といった説明も確認してみてください。
納得できない場合に、その場ですぐ売却を決める必要はありません。
遺品の場合は「誰が売却できるのか」も確認する
遺品として見つかった絵画では、作品の価値だけでなく、その作品を誰が処分・売却できるのかという問題もあります。
特に相続人が複数いる場合などは、一人の判断だけで売却してよいとは限りません。
「父の家にあったから自分が売ってよいだろう」と決めつけず、相続財産に該当する可能性がある作品については、必要に応じて相続人間で確認してから進める方が安心です。
高額な美術品や相続関係が複雑な場合には、税理士や弁護士など適切な専門家への確認が必要になることもあります。
売るかどうか決めていなくても、価値を確認してよい
絵画を査定に出すことと、売却することは別です。
「価値があるのかだけ知りたい」
「兄弟で形見分けをする前に確認したい」
「処分してしまってよい作品なのか知りたい」
「売るか残すかを家族で相談したい」
こうした段階で査定を利用することもできます。
作品についてある程度の情報が分かれば、売却する、家族で残す、形見として保管するなど、その後の判断もしやすくなります。
金銭的な価値だけが、絵画の価値ではない
遺品として残された絵画には、市場で取引される金銭的な価値とは別に、家族にとっての思い出や記憶が残されていることがあります。
市場価格が高い作品だから必ず売るべきということでもありませんし、市場価格が高くないから残す意味がないということでもありません。
だからこそ、最初から「売るもの」「捨てるもの」と決めるのではなく、まず作品について知ったうえで、家族にとってどうするのがよいかを考えることが大切です。
片付けで絵画が出てきたら、この5つを覚えておく
片付けや遺品整理で作者や価値の分からない絵画が出てきたら、まず次の5点を意識してください。
1.すぐに捨てない
古い、汚れているという理由だけで判断しない。
2.無理にきれいにしない
水、洗剤、アルコール、接着剤などを自己判断で使わない。
3.箱や書類を一緒に残す
ラベル、箱書き、証明書、領収書なども作品の情報になることがあります。
4.写真と分かる情報を残す
作品全体、署名、ラベル、付属品などを記録しておく。
5.分からなければ処分前に相談する
査定を受けたからといって、必ず売却する必要はありません。
遺品整理は、限られた時間の中で多くの判断をしなければならないことがあります。
だからこそ、価値の分からない絵画については、「捨てる前に一度確認する」という順番にしておくことが、後悔を減らすための大切なポイントです。
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