「相見積もりは失礼?絵画買取を比較するときの正しい手順」

2026.2.23

絵画を売却するとき、「一社だけで決めていいのか」「相見積もりを取った方がいいのか」と迷う方は少なくありません。一方で、「相見積もりは失礼では?」という不安から、比較をためらってしまい、結果的に納得感が残らないまま手放してしまうケースもあります。結論から言えば、相見積もりは失礼ではありません。ただし、比較の仕方を間違えると、価格だけに引っ張られてしまったり、説明不足のまま決めてしまったりして、後悔につながりやすくなります。

絵画買取は、日用品の買取のように“同じ商品を同じ条件で比べる”ことが難しい分野です。作品は一点ごとに状態も来歴も違い、査定の前提が揃っていないと比較そのものが成立しません。この記事では、相見積もりを取る際に大切なマナーと、同条件で比較して納得して決めるための具体的な手順を整理します。断り方の例文や、トラブル回避の確認ポイントまで含めて解説しますので、初めての方でも安心して進められるはずです。


結論|相見積もりは失礼ではないが「比較軸」が重要

相見積もりが失礼かどうかは、やり方次第です。丁寧に事情を伝え、同条件で比較し、最終的にどこに依頼するかを落ち着いて決めることは、売却する側として自然な行動です。むしろ、絵画のように相場が一律でないものほど、価格の根拠や条件を確認し、納得して決めることが重要になります。

問題になりやすいのは、相見積もりそのものではなく、次のような比較の仕方です。

■ 価格だけで即決する

■ 査定条件(送料・返送料・手数料など)を確認しない

■ 作品情報が揃っておらず、各社の前提がバラバラ

■ 断りの連絡をしないまま放置する

このような状態は、トラブルや後悔の原因になりやすいため、手順を整えることが大切です。


相見積もりを取った方がよいケース

相見積もりは必須ではありませんが、次のような場合は、比較することで納得感が高まりやすくなります。

■ 査定額の妥当性を確認したい

■ 作品の評価が割れそう(現代アート、作風が特殊、情報が少ない等)

■ 点数が多く、整理と売却を同時に進めたい

■ 相続・遺品整理で家族の合意が必要

■ 初めてで、査定の進め方そのものが不安

一方で、作品の点数が少なく、依頼先への信頼が強く、説明にも納得できる場合は、無理に相見積もりを取らなくてもよいことがあります。大切なのは、「比較すること」が目的になるのではなく、「納得して決めること」を目的にすることです。


相見積もりで失敗しやすい理由|絵画は“同条件比較”が難しい

相見積もりで後悔が起きやすいのは、比較条件が揃っていないためです。たとえば、A社にはサイン写真と裏面ラベル写真を送ったが、B社には全体写真だけだった、という状態では、査定の前提が違うため金額差が出て当然です。その差を「A社が高いから正しい」と受け取ると、納得感が残りにくくなります。

絵画買取では、価格より前に「評価の前提」を揃えることが重要です。そのうえで、査定根拠と条件を比較すると、判断が非常に安定します。


正しい手順①|比較する前に“情報セット”を揃える

相見積もりで最も効果があるのは、各社に同じ情報を渡すことです。情報量が揃うと、金額差の理由も説明しやすくなり、納得感が生まれます。

■ 作品全体(正面)

■ サイン・落款(アップ)

■ 裏面(ラベル・書き込み・シール)

■ 気になる状態(シミ・傷・剥落など)

■ 付属品(箱書き・証明書・図録など)の有無

■ 点数、サイズ感、入手経緯(分かる範囲で)

情報が少ない作品でも問題ありません。重要なのは、推測で埋めず「分かることだけ」を揃えて渡すことです。


正しい手順②|“同じ条件”で依頼する(出張か宅配か)

相見積もりでは、依頼方法も揃えた方が比較が安定します。出張と宅配ではコストや工程が違うため、同じ作品でも条件差が出やすいからです。可能なら、同じ方法で比較することが理想です。

■ 出張査定で比較する(点数が多い・大型が多い場合に向く)

■ 宅配査定で比較する(点数が少ない・小品中心の場合に向く)

どちらにするか迷う場合は、まず写真で相談し、出張が必要か宅配で足りるかを見立ててもらう進め方も現実的です。


正しい手順③|価格だけでなく「査定根拠」を必ず聞く

相見積もりで最も大切なのは、価格の数字よりも「なぜその価格になるのか」を理解することです。査定根拠を聞くと、相場の中でどの位置づけなのかが分かり、判断が落ち着きます。

■ 作家評価はどのように見ているか

■ 状態(シミ・カビ・剥落)の影響はどの程度か

■ 来歴資料や付属品の影響はあるか

■ 市場需要(今の動き)をどう見ているか

■ 同一作家で価格差が出る条件は何か

この説明が丁寧なほど、たとえ金額が同程度でも納得感が高まり、後悔の少ない決断につながります。


正しい手順④|「条件」を比較する(ここを見落とすと後悔しやすい)

相見積もりでありがちな失敗は、金額だけを見て条件を見落とすことです。特に宅配の場合は、条件確認が重要になります。

■ 送料・返送料の扱い

■ キャンセル時の条件

■ 支払い方法とタイミング

■ 梱包材の扱い(用意が必要か)

■ 作品の取り扱いと補償の考え方

■ 対応スピード(連絡頻度、質問への回答)

条件の透明性は、価格と同じくらい重要です。あとから条件の違いに気づくと、納得感が一気に下がることがあります。


「高い査定」が必ず良いとは限らない理由

相見積もりで最も揺れやすいのが、「一番高いところに決めるべきか」という点です。もちろん高い査定が魅力になることは自然ですが、次のような点も冷静に見ておくと安心です。

■ 高い理由の説明が弱い場合、納得感が残りにくい

■ 先に高めに提示し、後で条件変更が出ると不安が増える

■ 状態や資料の確認が不十分だと、後で評価が変わることがある

重要なのは、金額の高さよりも「説明の筋が通っているか」「条件が明確か」です。価格は結果であり、納得感は過程で作られます。


相見積もりを伝えるときの一言(マナーとして強い)

相見積もりは、先に伝える方が安心して進めやすいです。言い方は丁寧であれば十分で、難しい表現は不要です。

■ 「初めてなので、数社で比較して納得して決めたいです」

■ 「家族と相談するため、説明も含めて検討したいです」

■ 「同条件で比較したいので、写真と情報を揃えてお送りします」

この一言があるだけで、やり取りが落ち着き、トラブルも起きにくくなります。


断り方の例文|角が立たないシンプルな伝え方

相見積もりで迷うのが、断りの連絡です。ここを放置すると印象が悪くなり、後で相談しにくくなることがあります。短く丁寧に伝えるのが最も安全です。

■ 「このたびは査定ありがとうございました。検討の結果、今回は別の方法で進めることにいたしました。ご対応に感謝いたします。」

■ 「丁寧にご説明いただきありがとうございました。家族と相談し、今回は他社でお願いすることにいたしました。ご対応ありがとうございました。」

■ 「査定結果を参考にさせていただきました。今回は売却を見送る判断にしました。ありがとうございました。」

断る理由を詳細に書く必要はありません。感謝と結論だけで十分です。


トラブルを避ける最終チェック

相見積もりで後悔を防ぐために、最後に以下を確認しておくと安心です。ここが揃っていれば、決断はかなり安定します。

■ 同じ写真・同じ情報を各社に渡した

■ 査定根拠の説明を受けた

■ 送料・返送料・キャンセル条件を確認した

■ 判断を急かされていない

■ 価格だけでなく対応と透明性も比較した

この状態なら、どこに依頼しても「自分で納得して決めた」という感覚が残りやすくなります。


相見積もりは「納得のための手段」として使う

相見積もりは失礼ではありません。大切なのは、同条件で比較し、価格の理由と条件を理解し、納得して決めることです。絵画買取は一点ものが多く、比較が難しいからこそ、手順を整えるだけで後悔が大きく減ります。価格だけに引っ張られず、説明の筋、条件の透明性、対応の丁寧さも含めて判断すれば、売却は落ち着いて進められます。