ポストモダンとは、近代(モダン)を超えようとする動きや、近代の価値観を批判的に見直す動きのことです。20世紀後半から流行し、建築・哲学・芸術・文学など幅広い分野に影響を及ぼしました。思想運動としてポストモダンを語るときは、「ポストモダニズム」と呼ぶのが一般的です。
ポストモダンが流行する前は、18世紀の啓蒙主義から続く「ひとつの普遍的な正解」や「絶対的な価値観」が信じられていました。しかし二度の世界大戦や環境汚染を経て、画一的な考えに疑問が生じます。1979年にフランスの哲学者であるジャン=フランソワ・リオタールが、「社会全体が共有する大きな理想(=大きな物語)が終焉した」と説き、ポストモダンの考えが広く浸透しました。
ポストモダンの特徴は、「これが唯一の正解」という中心的な価値を否定し、少数派を含む多様な解釈を認めていることです。ゼロから新しいものを創るのではなく、過去のスタイルや大衆文化を元に、再構築しているのも、ポストモダンの特色です。美術の世界では、難解でストイックになった抽象表現主義やミニマリズムへの反動として、ポストモダンの考えが表れました。
絵画で代表的なのは、シミュレーショニズムです。たとえば、アメリカの現代アーティストであるリチャード・プリンスと写真家のシェリー・レヴィーンは、既存の写真や名画をそのままコピー(再撮影)し、「オリジナリティとは何か」を問い直しました。現代のデジタル社会における「多様な価値観の共存」は、ポストモダンの延長線上にあるとも言えるでしょう。

