アールブリュット

アールブリュットとは、専門的な美術教育を受けていない人が、伝統や流行に左右されず、自分自身の感性に従って制作した作品のことです。日本語では「生(なま)の美術」と呼ばれています。イギリスの美術史家であるロジャー・カーディナルは、アールブリュットを「アウトサイダー・アート」と訳しました。

アールブリュットは、1940年代にフランスの画家であるジャン・デュビュッフェが提唱しました。ジャン・デュビュッフェはパリを中心に活動しており、同時代の芸術家や文化人と関わるなかで、既存の文化の影響を受けずに制作された、独学の作家や精神障害者など作品に注目し、調査や収集を行いました。近年は日本でも注目が高まっており、主に知的障害や精神障害のある人たちの芸術表現として紹介されています。

アールブリュットの特徴は、美術大学をはじめとした正規の美術教育を受けていない人が制作するため、独特な表現技法が用いられているところです。既存の美術史や流行からの影響を受けておらず、評価や商業的な目的を意識せず自分のために制作した作品が多いため、高い独創性を感じられます。

アールブリュットの代表的な作家は、アメリカのヘンリー・ダーカーです。15,000ページを超えるファンタジー小説『非現実の王国で』と300点の挿絵などを制作し、没後にアパートの部屋から膨大な数の作品が見つかりました。ほかにも、イギリスの女性作家マッジ・ギルや、精神科病院に隔離されたことを機に創作を始めたスイスのアドルフ・ヴェルフリなどが、アールブリュットの有名作家として挙げられます。