歌川広重「名所江戸百景・王子稲荷の社」
この作品について
技法木版画(錦絵)
原版制作年1857年(安政4年)
歌川広重「名所江戸百景・王子稲荷の社」を買取させていただきました。
「名所江戸百景」は、歌川広重が晩年に手がけた代表的な名所絵シリーズです。本作「王子稲荷の社」は安政4年(1857年)に刊行された一図で、江戸の名所として知られた王子稲荷を題材としています。
境内に高く伸びる杉の木々を縦長の画面に大胆に配し、その間から遠景を望む構図が印象的です。手前には参詣する人々の姿が細やかに描かれ、江戸の人々の暮らしと名所の風情が一つの画面に収められています。深い緑と青を基調とした色彩にも落ち着きがあり、広重ならではの巧みな空間構成と叙情性を感じさせます。
歌川広重の浮世絵を査定する際には、図柄の人気だけでなく、江戸期の摺りか後世の復刻版か、初摺・後摺の違い、版元や改印、摺りや色彩の状態、余白の有無、退色・シミ・折れ・裏打ちなど、さまざまな要素が評価を大きく左右します。
本作についても、「名所江戸百景」という広重を代表するシリーズであることに加え、版の状態や摺り、色彩、保存状態などを総合的に確認しました。浮世絵は同じ図柄であっても制作時期や摺りの状態によって市場評価に大きな差が生じるため、作品そのものを確認したうえで現在の市場相場を踏まえた査定額をご提示し、ご売却いただきました。

