パテ・シュール・パテ

パテ・シュール・パテとは、フランス語で「生地の重ね塗り」を意味する磁器の装飾技法のことです。素地の上に液体状の陶土を何度も塗り重ね、カメオのような美しい浮き彫り模様を作ります。陶土を何層にも重ねるため、繊細な陰影を表現できるのが特徴です。19世紀半ばに、フランスのセーヴル窯で開発されました。

しかし、普仏戦争の影響でセーヴル窯は大きな被害を受けました。セーヴル窯の職人のなかにはイギリスに亡命した者もいて、イギリスの陶磁器メーカーの「ミントン」が破格の待遇で雇用します。制作には非常に高度な技術と長い時間が求められるため、19世紀のヨーロッパでは高級磁器の装飾として珍重されていました。

イギリス人のアルボイン・バークスはパテ・シュール・パテの技術を受け継ぎ、第一次世界大戦後はアメリカの富裕層からの注文を受けるようになりました。その後、第二次世界大戦でアルボイン・バークスが命を落としたことで、パテ・シュール・パテの技術は衰退します。技術の継承ができていなかったようで、現在ではパテ・シュール・パテは再現不可能な技術として高額で取引されています。

パテ・シュール・パテを制作した主なメーカーは、技術の発祥の地であるフランスのセーヴル窯や、イギリスのミントンです。特にミントンは技術力に定評があり、アンティーク市場では「パテ・シュール・パテの最高峰」とも評されています。ほかにも、1870年頃にはドイツのマイセンでもパテ・シュール・パテが作られました。