熊谷守一「没後40年 生きるよろこび」展を見て

2018.2.24

3月21日まで東京国立近代美術館にて開催されている、熊谷守一「没後40年 生きるよろこび」展を見てきました。 熊谷守一と言えば、明治後期から亡くなる1970年代までひたすらに絵を描き続けた日本を代表する洋画家です。 この風貌の通り、「仙人」と呼ばれ、豊島区の自宅から30年以上も出ることなく画業に専念したことでも有名です。 今回は、200点以上の作品、スケッチや日記なども公開され、実に見ごたえのある内容でした。 年代ごとに作品が展示されており、守一の心境や環境の変化とともに、作風の変遷が分かりやすく把握できる内容となっていて、守一の作品を初めてご覧になる方も、熊谷守一という画家がこの個展で充分に理解できる内容でした。 初期は非常に作風も暗く、特に「轢死」では、女性の飛び込み自殺に遭遇した守一が横たわった女性の轢死体を描いています。 作品の劣化がひどく、何を描いているかはぱっと見では分かりづらいのですが、目が慣れてくると徐々にその女性の姿が浮かび上がり、不気味さを覚える作品です。 「轢死」 また、私生活では3人の子供を亡くすなど、その境遇も作品に表されています。 「陽の死んだ日」 次男、陽の死んだ日に悲しみのあまり絵筆を取り、自分が「絵を描いている」ということに気づき、途中で描くのをやめたという作品。 その後も経済的に苦しい日々を過ごしながら、1940年代にパトロンとなった木村定一と出会い、その後は作風が変わってきます。 それまでとは打って変わって明るいシンプルな作風、いわゆる「モリカズ様式」に変遷していきます。 代表的な作品「雨滴」 個展の看板にもなった「猫」 皆さまがよくご存じの熊谷守一らしい作品がこれでもか、というくらい見ることができます。 展示の中盤から後半にかけては、前半の鬱屈とした雰囲気とは全く違い、ある種ほのぼのとした見ていて微笑ましい作品が一堂に並びます。 特に猫がお好きな方は、猫の絵がズラッと並んでいますので、これだけでも楽しいかも。 更に、書や水墨画も展示されており、こちらも一見の価値ありです。 最後の壁には、「日輪」シリーズ3作が展示。抽象的な作風で太陽が描かれています。 「朝のはぢまり」 熊谷守一の行きついたところが感じられます。 日々忙しく、なかなか美術館に足を運ぶことも少なくなってしまっていますが、作家の生き様に反映された作品を直に目にすることにより、感性が磨かれるのを実感できます。 弊社でも熊谷守一の油彩、版画含め買取させていただいておりますが、今まで以上に作家に愛着を持って扱わせていただきたいと気を引き締めることができました。 熊谷守一「生きるよろこび」展、お勧めです! 3/21までに見に行けない方は、「いのちへのまなざし 熊谷守一評伝」も出版されているみたいですので、こちらもご参考まで。 いのちへのまなざし 熊谷守一評伝 著:福井淳子 出版:求龍堂

フジテレビ系列「ノンストップ!」にCMを放映しました

2017.11.29

当社《美術品・絵画買取センター》のCMをフジテレビ系列の情報番組「ノンストップ!」で放映いたしました。 地方では既に放映しておりますので、目にされた方もいらっしゃるかもしれません。 今回は30秒CMですので、比較的長めの内容となっております。 CM動画はこちらから【私たちにお任せください編】 出演していただいた案内役の女性は、タレント・モデルの末岡いずみさん。 最近では、ドラマ「黒革の手帖」にも出演され、エイブルのCMでは見事な腹筋を披露され、話題になっていました。 今後も全国でCMを流す機会もありますので、是非ご覧いただければと思います!

アートの価値とは?

2017.10.18

秋が来たと思ったら、一気に冬のような寒さがやってまいりました。 体調の変化にも気を付けたい季節になってきましたね。 さて今回は、買取に行った際によく耳にする「美術品(絵画)の価値ってなんなんでしょうね?」ということについて、少し触れてみたいと思います。 ちょうど面白い記事がYahooニュースに取り上げられていました。 「アートの価値はどう決まる?日本のアートビジネス新時代」 著名なギャラリストやオークション会社の元社長さん達がそれぞれの考えを述べており、非常に興味深い内容となっております。 その中でも元サザビーズジャパン社長の石塚氏が述べていることは今の美術界をよく表していると思います。
かつて美術愛好家がこぞって買った日本画、洋画の価格はバブル時のピークの5分の1、10分の1。これでは美術品を新たに買おうにも軍資金は出ないし、国内のマスコミではアートとお金の情報が不足しているので必要以上に安く売る羽目に。そのうえ、子どもや孫に「まったく無駄づかいして。もう美術品は買わないで」と言われる始末。不幸な悪循環です。
絵画や美術品にはそれぞれ相場があり、需要と供給によって成り立っています。 ほとんどの美術品の買取額は購入したお値段から下がってしまうことも多く、高いお金を出したのにこんなものですか…残念です…と言われることも正直な話よくあることです。 「美術品や絵画=高価なもの・有名な作家になればなるほど将来値段が上がるもの」、という少し間違った認識が広まりすぎているのではないかと感じます。 長い間飾って楽しみ、値段が上がればもちろん言うことはありませんが、大事なことは、その作品を見て心が動き、それを購入して飾ることの心の豊かさではないかと思います。 日々、色々なお客様とのご売却の場面に立ち会うわけですが、お客様から「この作品を買ったときはこんなことがあって、こんな思いで眺めていましたよ」と作品との思い出話を聞くと、私たちも次に大切にしていただける方にお繋ぎしていきたい、と強く思います。 これからもお客様の気持ちに少しでも寄り添い、ご満足いただけるように努めていきたいと思うのでした。  

草間彌生作品を買い取りました

2017.8.22

草間彌生作品を買い取りました

先日、長野県のお客様から現代アートの巨匠、草間彌生先生の作品を買取させていただきま した。長野県松本市は草間先生の故郷でもあります。 草間彌生先生といえば、2016年に文化勲章を受章され、最近では 5 月まで開催された国立 新美術館での個展「わが永遠の魂」や、4月にオープンしたGINZA SIX(銀座シックス)に展 示されたインスタレーションなど、メディアでも多数取り上げられたことで、アートファン 以外にも目にされた方は多いはず。
この度、作品をお譲りいただいたお客様は、お父様の代から草間先生の作品を購入して応援されており、版画から油彩まで実に幅広くお持ちでいらっしゃいました。今回は、版画「上海南瓜」をご売却いただきました。モチーフは代表的な南瓜です。 2010年制作、シルクスクリーンにラメが入っていて、光が当たるとキラキラする、とても素敵な作品です。
草間先生の作品の高騰ぶりは私どもも驚くところもありますが、作品の独創性、込められた 思い、画家としての草間自身の生き様、全てが他に類を見ないアーティストであり、そこが 世界的に評価されている理由であると感じます。 今、私どもの業界ではどこの会社も草間先生の作品を探しておりますが、ぜひ一度弊社にも お問い合わせしてみてください。 どこにも負けないお値段を出させていただきます!