アウガルテン

アウガルテンとは、オーストリアの磁器工房のことです。正式名称は「ウィーン磁器工房アウガルテン」で、工房の移転先であるアウガルテン宮殿と、アウガルテン宮殿が建っているエリアのアウガルテンという地名が工房名の由来。工房独自の調合・熟成で磁器用の粘土を作っており、薄くて滑らかな質感の白磁が特徴です。

アウガルテンは、1718年にデュ・パキエという人物が「ウィーン磁器工房(パキエ磁器工房)」という工房名で創設しました。ドイツのマイセン磁器工房に次いで、ヨーロッパで2番目にできた工房です。1744年には当時のオーストリアの君主であるマリア・テレジアから王室直属の工房に指定され、ハプスブルク家の紋章を商標として使うようになりました。

ハプスブルク家の衰退と工業化による大量生産の実現が理由で1864年に一度工房は閉鎖されましたが、1924年にアウガルテンのアウガルテン宮殿に工房を移し、活動を再開しました。2023年12月時点でも製品の生産・販売が続いており、世界的に根強い人気のある陶磁器工房です。

アウガルテンは時代の変遷に合わせ、さまざまなシリーズを制作してきました。工房設立当初は「プリンス・オイゲン」や「カラフル・シノワズリ」など、金彩で縁取った白磁の中央に、鮮やかな色合いの植物を描いたものを発表しています。マリア・テレジアに王室直属の工房に指定されると、「マリア・テレジア」という小花柄を散らしたものも登場しました。現在も伝統的な磁器に加え、斬新かつモダンな製品を作り続けています。