アカデミック美術とは、15世紀後半から19世紀のヨーロッパにおいて、公的な美術教育機関である「アカデミー」が提唱した美術様式のことです。アカデミーの規範に影響を受けた絵画や画家のことを指す場合もあります。特に19世紀のフランスでは、国家主導の権威として美術界を牽引していました。
アカデミック美術の起源は、ルネサンス期にイタリアで始まった芸術家たちの集まりです。その後、17世紀にフランスで設立された王立絵画彫刻アカデミーで体系化されました。19世紀にはアカデミーが主催する官展「サロン」が開催されるようになり、画家が成功を収めるための第一歩として多くの作品が出品されました。
しかし、アカデミーの保守的な考え方は、次第に個人の感覚や新しい技法を拒絶するようになります。19世紀後半に印象派が登場すると、両者は激しく対立しました。アカデミック美術は「古臭い芸術」と揶揄されることも増えましたが、近年では描写の技術の高さや物語性が再評価されています。アカデミック美術の代表的な画家と作品としては、ウィリアム・アドルフ・ブグローの『ヴィーナスの誕生』が挙げられます。
アカデミック美術の特徴は、デッサンを重視していることです。解剖学に基づいて、写実的かつ理想的な人体を追求しました。ほかにも、筆跡を残さない「レシェ」という滑らかな仕上げが好まれ、写真のような綿密な画面になっているのも特徴です。作品のテーマの種類ごとに階級を設け、最も高貴なのは神話や聖書を含む歴史画、次いで肖像画、風俗画、風景画、静物画の順番に価値が置かれました。

