デッサン

デッサンとは、鉛筆や木炭などを使って、物体の形、質感、明暗(光と影)を平面に描き出す美術の技法のことです。日本語では「素描(そびょう)」と呼ばれることもあり、作品として絵を描いたり下絵にしたりするだけでなく、絵画やデザイン、アニメーションなどの基礎的な観察・表現トレーニングとしても用いられます。

デッサンを行うときは、構造・質感・空間の3つの要素を意識するのが基本です。構造は物体の骨格や遠近法を捉え、見えない裏側まで意識して立体を把握します。質感では、金属の光沢や果物の瑞々しさなどを、筆致や濃淡だけで描き分けます。空間では対象物とその周りにある空間と光を描くことで、画面の中に奥行きを生み出します。

デッサンとよく似た用語に、「ドローイング」「スケッチ」「クロッキー」があります。ドローイングはデッサンとほぼ同じ意味ですが、ドローイングの方がより広い意味で「線を引くこと全般」を指す傾向があります。スケッチは短時間で対象の要点をとらえて大まかに描くこと、クロッキーは数分程度のさらに短い時間で、対象の特徴や動きを捉える速写のことです。

デッサンの代表的な作品には、フランスの画家であるジャン=オーギュスト・ドミニク・アングルが描いた『パガニーニの肖像』があります。ほかにも、作品を制作する際に描く習作としても残されており、新印象派の画家ジョルジュ・スーラによる『グランド・ジャット島の日曜日の午後』、ミケランジェロの『システィーナ礼拝堂天井画』が、デッサンによる習作の代表例として挙げられます。