パラゴンとは、イギリスの陶磁器メーカーのことです。主に生産していたのは、ティーセットと朝食セット。のちに北米への輸出を目的としたディナー食器のほか、記念品・像・乳児用食器なども生産しました。淡く繊細な彩色が魅力で、世界中のコレクターからの注目を集めているメーカーです。

パラゴンは、1903年に設立されました。創業者はイギリスの有名陶磁器メーカーであるエインズレイの経営者の息子、ハーバード・エインズレイです。当初はエインズレイの一部として活動していました。エインズレイの人脈を活かして早期にパトロンを獲得し、工房から技術を学んでいたため、パラゴンは比較的早いタイミングで事業を軌道に乗せられたそうです。

パラゴンはエインズレイから派生した陶磁器メーカーとも言えるため、作風はエインズレイとよく似ています。違いを挙げるとすれば、黒や金彩の使い方、ハンドルのデザインなどです。エインズレイはあまり黒を使っていないのに対し、パラゴンでは黒を取り入れた製品が一定数存在します。金彩はパラゴンが内側、エインズレイは外側に施す傾向にあるようです。またハンドルのデザインはパラゴンの方がバリエーションが豊富で、蝶・葉・バラ・蕾などさまざまな種類があります。

1920年代から1930年代にかけては、王族が使う食器も生産していたパラゴン。1938年には王室御用達の許可証を授かり、陶磁器メーカーとして一定の地位を確立しました。1972年にロイヤル・ドルトンに吸収された後も、1990年代前半まで生産が続けられました。