パート・ド・ヴェール

パート・ド・ヴェールとは、ガラス工芸の一種のことです。フランス語で「ガラスの練り粉」という意味があり、ガラスの粉末を型の中で溶かしてから成型します。パート・ド・ヴェールの歴史は古く、古代メソポタミア文明には基となる鋳造ガラスの技術が存在したとされています。

しかし紀元前1世紀頃に、大量生産に対応できる「吹きガラス」が登場したことで、パート・ド・ヴェールは衰退しました。その後、約1800年の時を経てアール・ヌーヴォーが流行した時代に、フランス人陶芸家のアンリ・クロによって復活します。

柔らかい質感のカラフルなガラスは注目を集めるようになり、ランプのような小物だけでなく、パート・ド・ヴェールの技術を応用した装飾パネルや教会のステンドグラスなどが作られました。しかしながら、パート・ド・ヴェールの作家は秘密主義の姿勢を取り、技術を後世に伝えなかったため、再び失われてしまいました。

パート・ド・ヴェールの特徴は、一般的な透明感のあるガラスとは異なり、柔らかくマットな質感をしているところです。制作時に粉ガラスを使い、たくさんの細かい気泡によって独特の質感を生み出しています。

パート・ド・ヴェールで使用する粉ガラスはひとつの作品に複数の色を用いるため、複雑なグラデーションや水彩画のような色合いを作ることが可能です。パート・ド・ヴェールの主な作家としては、薄手で軽量な作品を残したアルベール=ルイ・ダムーズや、カラフルな素地を用いた作品を制作したアンリ=ベルジュなどが挙げられます。