ファイアンス焼きとは、淡い黄色の土の上に錫釉をかけた陶磁器のことです。北イタリアで陶器の町として知られるファエンツァが由来です。スズを含む釉薬を使うことで、地肌が真っ白で滑らかな質感になるのが特徴です。ファイアンス焼きの白い地肌は、繊細な絵付けを施すのに非常に適していました。
ファイアンス焼きは8世紀ごろの中東で既に作られており、その後ヨーロッパ各地に広まったと考えられています。18世紀頃のフランスでは、ファイアンス陶器は中上流階級の人々の日常的な食器として親しまれました。生産地によっては異なる名前が用いられ、たとえばイタリアでは「マヨリカ焼き」、オランダでは「デルフト焼」と呼ばれる場合があります。
一時はヨーロッパ各地に広まったファイアンス焼きですが、18世紀末により安価な陶磁器が登場したり、19世紀初頭に釉薬を使わなくても表面がガラス化するストーンウェアが台頭したりした影響で、次第に衰退していきました。その後、1870年代になるとファイアンス焼きのよさが見直され、大手企業が生産を再開するようになりました。
ファイアンス焼きの魅力は、鮮やかな絵付けを施しているところです。白い地肌はキャンバスのような役割を果たし、赤・青・黄・金などの華やかな彩色が美しく発色します。絵画を思わせる繊細な絵付けも、見どころのひとつとして挙げられます。ファイアンス焼きの代表的なブランドは、フランスのジアン、オランダのロイヤル・デルフト、スウェーデンのグスタフスベリなどです。

