抽象画とは、現実の人物や風景といった具体的な対象をそのまま描くのではなく、色、線、形などの純粋な視覚要素を用いて表現する絵画のことです。狭義では具体的な対象を描かない絵画、広義では具体的な対象が抽象化されて実際の様態から変化している絵画を指します。
狭義の抽象画の制作は、写実的な絵画から脱却する形で、1910年代に始まりました。ロシア出身の画家カディンスキー、もしくはオランダ出身の画家モンドリアンが創始者であると考えられています。内面を主観的に描く「ドイツ表現主義」と、さまざまな角度から見た物を1つの画面に収める「キュビズム」が、抽象画の主な源流とされています。
抽象画のスタイルは、「幾何学的抽象」と「有機的抽象」の大きく2つに分けられます。幾何学的抽象とは、丸・三角・四角といった形や規則的な線で構成される表現です。有機的抽象では、感情や音楽的なリズムを、自由な筆致や鮮やかな色彩で直感的に表現します。いずれのスタイルも解釈の仕方に決まった正解はなく、見る人のその時の感情や感性によって自由に捉えることが可能です。
抽象画の著名な作家としては、ロシア出身で「抽象画の父」とも呼ばれるカディンスキーや、オランダ出身で幾何学的抽象を完成させたとされるモンドリアン、アメリカのアーサー・ダヴなどが挙げられます。有名な作品は、カディンスキーの『即興 渓谷』、モンドリアンの『ブロードウェイ・ブギウギ』、アーサー・ダヴの『シンボル化された自然』などです。
