文人画とは、中国で学問を修めた文人が趣味のような形で描いた絵画のことです。職業画家が制作した絵画「院体画」の対義語として用いられることもあります。もともとは文人が制作した絵のことを指していましたが、後に文人画のような作風で描いた絵画も「文人画」に含まれるようになりました。
中国の明代に活躍した董其昌という文人によって定義され、画家の内面性・精神性をよく表現している作品が高く評価されました。日本には室町時代頃に中国から伝わり、江戸時代中期以降盛んに制作されるようになります。「日本の文人画」という意味で、南宗画を省略した「南画」と呼ばれることもあります。しかし、明治以降は美術界を牽引するアーネスト・フェノロサや岡倉天心からの評価を得られず、次第に衰退していきました。
文人画の特徴は、作品に用いられる技法よりも、描く人の精神性が重視されることです。人柄や教養を感じられ、絵に込められた「詩情」が伝わる作品が好まれました。主に、文人が理想とする生活風景や山水風景などがモチーフとして取り入れられています。表現スタイルは墨の濃淡で描く水墨画が中心で、なかには淡い色を添えたもの制作されました。
文人画の主な作品は、中国の詩人である王維が山間を流れる川の風景を描いた『中国大陸』、江戸時代の画家である浦上玉堂が制作した『東雲篩雪図』、文人画の定義を行った中国明代の文人・董其昌が制作した『夏木垂陰』などです。
