焼締め

焼締めとは、釉薬を使わず高温で焼成した陶器のことです。釉薬を使わないため、土が本来持つ自然な色合いや、素朴で力強い質感をそのまま楽しめるのが特徴です。平安時代から鎌倉時代にかけて生活の道具として普及し、常滑や紫香楽などで甕(かめ)や壺のような生活用品が量産されていました。

安土桃山時代になると茶の湯が発展し、千利休をはじめとした茶人によって「わび・さび」の考えが確立しました。焼成時に付いた炎の模様や、土の粗い質感が残っている焼締めの器は、茶道の道具として当時の大名や文化人から高く評価されました。

焼締めの陶器は乾燥させた素地に釉薬をかけず、1100~1300℃の高温で焼成して作ります。高温で焼成するため、水が漏れなくなるほど固く、粘土がギュッと締まっているのも、焼締めの特色です。窯の中で器に降り積もった灰が、長時間高温で焼成されることで溶けてガラス質に変化し、釉薬の代わりになります。これは「自然釉」や「灰釉」と呼ばれ、焼締めの特徴として挙げられます。

現在も焼締めの陶器は生産が続いており、主な産地には岡山県の備前焼、兵庫県の丹波焼、愛知県の常滑焼などがあります。備前焼は絵付けや釉薬の使用はせず、窯の炎の当たり方や灰の付着によってさまざまな模様を生み出します。丹波焼は平安時代末期から続いており、古くは赤茶色の土に緑色の灰が付着した素朴な作品が作られています。常滑焼は鉄分を多く含んだ赤い粘土を使用しており、高温で焼き締める技法が特徴です。