浮世絵「歌川広重「名所江戸百景 猿わか町よるの景」」
この作品について
大判錦絵(木版画)
安政3年(1856年)9月
魚屋栄吉
「名所江戸百景 猿わか町よるの景」は、江戸時代後期の浮世絵師・歌川広重が安政3年(1856年)に発表した大判錦絵です。広重晩年の代表的な風景版画シリーズ「名所江戸百景」の一図で、月明かりに照らされた江戸の芝居町・猿若町の夜景が描かれています。
歌川広重(1797~1858)は、江戸時代後期を代表する浮世絵師です。「東海道五十三次」や「名所江戸百景」などの風景版画で広く知られ、四季の移ろいや天候、時間帯によって変化する風景を詩情豊かに表現しました。大胆な構図や繊細な色彩表現は、国内のみならず海外の美術にも大きな影響を与えています。
本作の舞台となった猿若町は、現在の東京都台東区浅草周辺に位置した江戸の芝居町です。天保の改革に伴い、江戸市中にあった歌舞伎の芝居小屋が移転・集約され、芝居見物や周辺の商いで賑わう一大歓楽街となりました。広重はその街並みを、通りの奥へと視線を導く遠近法を用いて描いています。
「名所江戸百景」は、広重が晩年に手がけた江戸名所絵の代表的なシリーズです。季節や天候、時間帯を取り入れた多彩な風景表現が特徴で、現在も国内外の美術館や浮世絵愛好家から高い関心を集めています。本作も江戸の都市文化や芝居町の様子を伝える作品として、美術的価値と資料的価値を兼ね備えています。
広重の代表的なシリーズに属する作品であることや、人気の高い図柄、摺りの特徴、保存状態、現在の浮世絵市場における取引動向などを総合的に評価し、査定額をご提示のうえ、ご売却いただきました。

