「絵画を売る前にやってはいけないこと」

2026.6.22

大切な作品だからこそ、「そのまま」が一番価値を守ります ?

絵画の査定をご依頼いただく際、お客様からよくいただく言葉があります。

「少しでもきれいな状態で見てもらった方が良いと思って……。」

そのお気持ちはよく分かります。しかし、美術品の査定という仕事に長く携わっていると、「そのひと手間」が、かえって作品の価値を損ねてしまう場面に出会うことがあります。

絵画は家具や家電とは異なり、新しいほど価値が高いものではありません。また、見た目がきれいであれば評価されるというものでもありません。

作品本来の状態を見極めることが、美術品査定では何よりも大切なのです。

?️ ご自身で掃除をしない

長年飾っていた作品には、どうしてもホコリが付着します。

そのため、水拭きをしたり、ガラスクリーナーやアルコールで拭いたりする方がいらっしゃいます。

しかし、油彩画の表面や日本画の顔料、版画の紙は非常に繊細です。

見た目では分からなくても、表面の風合いや質感が変化してしまうことがあります。

査定では、その作品が長い年月を経てきた姿も大切な判断材料になります。

気になる場合でも、無理に手を加えず、そのままご相談いただくことをおすすめします。

? 額縁や箱も一緒に保管する

「額縁は古いから必要ないだろう。」

そう思って処分される方も少なくありません。

しかし、額縁や共箱、黄袋、保証書、購入時の資料などは、作品に関する大切な情報となることがあります。

査定額を左右する決定的な要素ではありませんが、作品の来歴を知る手掛かりになることもあり、できるだけ一緒に保管していただきたいものです。

✍️ 作者が分からなくても処分しない

実家の整理や遺品整理では、「誰が描いたか分からない絵」が見つかることがあります。

作者名が読めない、サインがない、そのような理由だけで処分してしまうのは、とても惜しいことです。

私たちが拝見した作品の中にも、「無名だと思っていた作品」が評価につながった例は少なくありません。

価値があるかどうかは、見た目だけでは判断できないのが美術品の世界です。

? インターネットの価格だけを信じない

最近では、作品名を検索すると価格が表示されることがあります。

しかし、その価格は現在販売中の価格であったり、過去のオークション結果であったりと条件はさまざまです。

実際の査定では、

・保存状態

・制作年代

・サイズ

・技法

・市場動向

など、多くの要素を総合的に確認します。

同じ作家の作品でも、査定額に大きな差が生まれることは珍しくありません。

? 売却を急がない

「すぐに処分しなければならない。」

そのような事情がある場合を除き、慌てて売却先を決める必要はありません。

美術品は、専門店ごとに得意分野や販売ルートが異なります。

査定額だけでなく、作品について丁寧に説明してくれるか、安心して相談できるかも大切なポイントです。

大切な作品だからこそ、納得できる相手に託していただきたいと思います。

? 一枚の絵には、それぞれの物語があります

私たちは日々、多くの作品を査定しています。

その中には、何十年もご自宅の応接間に飾られていた作品、ご家族が大切に受け継いできた作品、退職記念として贈られた作品など、一枚一枚に思い出があります。

だからこそ、査定では作品だけを見るのではなく、その背景にも耳を傾けたいと考えています。

もし、ご自宅に「価値があるか分からない」「作者が分からない」「古いから処分しようか迷っている」という作品がございましたら、どうぞそのままの状態でご相談ください。

長年美術品を見続けてきた経験をもとに、一点一点を丁寧に拝見し、その作品が持つ価値を誠実にお伝えいたします。


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