具体美術

具体美術とは、1954年に兵庫県芦屋市で設立された「具体美術協会」に参加したアーティスト達が制作した作品の総称です。「具体」には、「我々の精神が自由であることの現行の具体的な証明」という意味が込められています。伝統的な手法で描いた絵画とは一線を画し、奇抜な物質や器具を使用した前衛的な作品を生み出しました。

具体美術協会を設立した吉原治良は、「円」を描いた絵画を数多く残しています。黒地に赤い円をダイナミックに描いた作品は圧巻です。白髪雄一は、地面に広げた紙に足で絵の具を広げ、躍動感のある絵を描きました。嶋本昭三はボトルに詰めた絵の具を投げつけ、田中敦子は電気バルブで作ったドレスを身にまとうなど、自由度の高い創作活動を行っていたことが伺えます。

1960年代に入ると第二世代の作家たちが台頭し、さらに型破りな作品を創造していきます。光の動きを利用したライトアートや、実際は静止しているのに動いているように見せるキネティックアートを取り入れ、独自に発展させていきました。第二世代の中でも有名な作家に、ヨシダミノルや今中クミ子、向井修二などが挙げられます。

1972年に吉原治良が亡くなると、その1か月後に具体美術協会は解散しました。1990年代になると具体美術の実験性や現代美術の先駆者としての役割が評価され、国内外で回顧展が開催されるようになります。現在も日本、アメリカ、香港など世界中のギャラリーで新しい作品が発表されており、根強い人気を持つ作品群です。