クリストフルとは、パリに本社がある銀食器とカトラリーのメーカーのことです。宝石商の家に生まれたシャルル・クリストフにより、1830年に設立されました。1846年には当時のフランス国王ルイ＝フィリップ1世から、1851年にはナポレオン3世からテーブルウェアの注文を受けており、格式のあるメーカーとして知られています。

クリストフルの製品の特徴は、シンプルながら芸術性に優れており、食卓を華やかに彩るデザインです。テーブルウェアは、乳白色の器の縁をシルバーやモチーフで彩るだけに留め、食べ物を主役にしつつ上質感を演出できるようになっています。シルバー一色のテーブルウェアは、シルバーの輝きを活かした無地や、レースのような繊細な刻印を施したものをラインナップしています。

カトラリーもシンプルかつ洗練されており、金属の輝きと滑らかな質感を合わせ持っているのが魅力です。細かい彫刻をあしらった製品も展開しており、料理を味わうだけでなく、ナイフやスプーンの意匠を見て、充実した食事の時間を過ごせるものが揃っています。

そんなクリストフルは、フランスの貴金属製造で初めて電気メッキ技術を導入したメーカーでもあります。金属を電解することで薄い金属の層を塗布できるようになり、人体に影響を及ぼす可能性がある水銀を使った合金を取り入れなくても済むようになりました。クリストフルは当時の革新的な技術を用い、約200年前から現在まで愛される製品を作り続けてきた歴史あるメーカーと言えます。