メタルウェアとは、金や銀を用いた金属製品のことです。特にヨーロッパで作られたアンティーク品を指します。水差しやティーポット、箱など製品の種類は様々。流行し始める前はかなりの贅沢品で、王室や聖職者といった一握りの特権階級のみが入手できる大変稀少なものでした。

ヨーロッパにおいてメタルウェアは、1700年代に紅茶やコーヒー、チョコレートを飲む習慣が生まれてから需要が高まります。当時の紅茶やコーヒーなどは、富裕層が嗜むもの。メタルウェアは特別な飲み物を飲むための、洗練された器として重宝されました。他にも人気だったのがワイン用品やキャンドルスティック。どのメタルウェアも技術の進歩とともに大量生産が可能になり、徐々に民衆へと普及していきました。

メタルウェアに施す装飾は、時代とともによく変化しています。17世紀末から18世紀初頭にかけては最低限の装飾を施すのにとどまっていましたが、徐々に豪華な製品が増加。18世紀末にネオクラシック様式がトレンドとなったのに伴い再びシンプルな意匠が好まれ、19世紀後半に入ると壮麗なロココ様式が主流となりました。

またメタルウェアには、品質を保証もしくは示唆するためのマークをあしらっているものもあります。国や地域によってマークの数やデザインが異なるため、製品の基本情報を調べる際に参考にすることが可能です。例えばイギリス製のものなら、場所・製作者・年代・銀の質を4つのマークで表しています。